日本に4年前に来てからずっと思っていることのひとつ。
僕は、長距離系のスポーツが大好きだし、大会とかにでてもそこそこの成績を残せる。しかし、だからといって、僕がどれだけ一生懸命練習してもオリンピックの水泳自由形1500メートルで金メダルを狙えるかというと限りなく不可能に近い。でも、研究は大好きだし、金メダルを狙える自信がある。だから、マラソン、トライアスロンなどの大好きな長距離系スポーツは趣味で、研究はプロの仕事として選んでいる。
ひとはそれぞれ得意、不得意がある。1000くらい不得意でも1つくらいは得意で誰にも負けないことが誰にでもあると僕は確信している。1000くらい不得意なところで無理にやってもそれが嫌いになるだけだし、そのうち、うち破れない壁にぶち当たる。それらを無理してやるより、誰にも負けないことを1つ見つけてそれで金メダルをとるほうがよっぽどハッピーだと思う。
子育て、教育とは、この「誰にも負けない大好きなこと」を1つ見つけさせてあげて、それが伸びるのを「妨害しない」ことだと思う。最近の子供や学生さんたちをみていて思うけど、この1つが見つけられていないと思う。家でも、学校でも、注意がどうも「できないこと」「不得意なこと」に集中してしまっている。
僕がいくらがんばってもオリンピクの水泳で金メダルとれないのは自明である。でも、水泳やトライアスロンは大好きなので、これからもそこそこトレーニングして一生続けると思う。でも、それはそのレベル。僕の真剣勝負は研究。
「誰にも負けない好きなこと」はどうやったらみつかるか?これは、とても難しく、すぐに見つかるひともいるし、一生かかっても見つからないひともいる。でも、見つかるまで探し求めることが大切だと思う。そして、見つかったら、そのことに集中して全精力を注ぐことだと思う。
今の子供や学生さんたちは、まわり(親や両親)が手取り足取りして、誰にも負けない好きなことを「探してあげる」、「探すのを手伝ってあげている」のを頻繁に目にする。これでは、見つからないし、子供や学生さんは、そうやって見つけたものはだいたい大好きにならないし、それで誰にも負けなくはならない。
「誰にも負けない好きなこと」は、偶然みつかる、偶然にみつけてもらうしかない。僕は思う。まわりがごちゃごちゃ関わらないで自然・偶然にまかせて温かく見守るだけにしておくことが、偶然みつかるチャンスを最大限にすると思う。