日本では何かにつけて「上下関係」が大なり小なり存在する。「お客様は神様」という言葉にあるように、買う側(上)― 売る側(下)という関係がある。「お辞儀」や「謝罪」で頭下げる行為だってそれをある意味あらわしている。昔は、先生・学校(上)― 生徒・学生・それらの父兄(下)という関係があって、それが、今は、生徒・学生・それらの父兄(上)― 先生・学校(下)という逆の関係になっているだけで、上下関係があることには変わらない。今だに、「お上」は「お神」というのがあるのも事実。相変わらず、参勤交代みたいなことやっているし。それ以外にもたくさんあるけど、そんなくだらないことをリストアップする時間が勿体無いので、ここではしない。
僕は、そもそも、こういう風土というか環境が嫌で、子供の時から日本を逃げ出すことばかり考えていて、22才で逃げ出した。それがなぜか、46才でまた懲りずに日本に帰ってきて今に至っているわけだ。
そして、今は、「アホくさい」「時間の無駄」と思いながらも、自分のやりたい夢を実現させるためなら、これくらい仕方がないと自分に言い聞かせながら、なんとかやっている。
それでも、最初は仕方がないと思っていても、ここまで我慢する必要はない、となったら、僕はあっさり切り捨てる。これまでも、2009年に日本にきてから、何度もこの「切り捨て」をやってきた。NAISTの教授を辞めたのもそのひとつ。それ以外にも結構たくさんあって、去年も数個ほど切り捨てたし、今年になってからも、すでに最近ひとつあって、僕の心の中では「切り捨てた」ので今後は少し自分の心や頭が軽くなるはず。
実はこれまでこうやって切り捨てたものは、今思えば、全てが、切り捨てて本当によかったと心から思えるので、やはりその決断は正しかったのだと思う。
僕は、基本的に、他人側の問題で自分がストレスを抱えて、自分が堂々とした人生を送れなくなるのは割りに合わない、と思った時はあっさり捨てる。捨てた限りは、その責任は自分が背負うし、その判断が自分自身はもちろんのこと誰がみても正しかったという結論になるように、最大の努力をする。