2018年9月9日日曜日

201899日【孤独で多くの場合不毛な研究】
世の中溢れるほどの論文がある。そして、自分の研究分野がポピュラーであればあるほど、自分の研究に関連する論文も毎日沢山発表されるので、それなりに目を通しておいたほうが良いことが多い。そういう場合、いい加減で再現性が低い(再現性が全く無いわけではなく、論文が主張するほどRobustじゃないという意味)論文があると、それに振り回されて時間を無駄にされてしまうことがある。

そういう点でいうと、僕の場合、自分のラボを持って以来(1991年1月からだから約28年間)、そんなに過去の多数の論文を分析した上でのプロジェクトというよりは、遠い昔に忘れ去られた(あるいは、忘れ去れそうになっている)仮説や(自分のラボで最初に開始したプロジェクトはドイツ語で書かれた100年近く昔の分厚い論文が元になっていた)、そんなことありえないから誰もそもそもやろうとしていない、あるいは日々の実験で偶然に見つけた観察でとてもあり得そうの無い現象、これらが元になっている場合が多いので、そもそもそんなに論文を日々注意してフォローしている必要がない。

そして、そのようなプロジェクトを論文化して、だんだん周りが盛り上がってきて多くの研究者が同じような研究をやり始めると、僕の場合は、一瞬にして興味を失ってしまう(これが、実は僕の良くないところでもある)ので、別の研究テーマを求めて「孤独で、多くの場合不毛な旅」に出る。

こんなパターンを僕は30年近く繰り返しているので、結構精神的には辛いけど、まぁ、そういうやり方しかできないのが自分でもある。