2013年3月20日水曜日

2013年3月20日

「Emery Kalinov」
http://mrflip.com/pix/emery/emery.html

彼が、テキサス大学の学部生3年生(Junior)のときに、僕が教授をしていたUniversity of Texas Southwestern Medical SchoolにSummer Undergraduate Research Fellow (SURF)として選ばれ、僕のラボで一ヶ月ほど研究をした。とても、優秀、勤勉、そして高い向上心をもった学生さんだった。SURFが終わった後も、頻繁にコンタクトをとり、将来は臨床をしながら研究もしたいということで、University of Texas Southwestern Medical Schoolの医学部に応募し、合格した。

将来は、臨床と研究を通じて多くの人たちの命を救いたいといって、僕のいるUniversity of Texas Southwestern Medical School医学部に入学し、勉強、研究をすることをとても楽しみにしていた。

しかし、4年生のときに白血病になり、2年ほど、病気と闘ったが、帰らぬ人となった。University of Texas Southwestern Medical School医学部には合格していたが、入学式にも出れないまま天国へ旅立った。

僕は、彼の闘病中、なんども病院、実家へ足を運んでいた。葬式にもでた。葬式のとき、彼の学部のときの同級生たちが沢山きていた。僕は、その一部の学生さんたちしか面識はなかったが、僕が、葬式が終わって帰ろうとしたところ、学生さんたちなかのひとりの女の子に呼び止められた。

彼女:「Tom先生、今日は、ありがとうございました。ちょっと、みんなを呼んでくるので、すこしだけ待っててください」。

そして、葬式に来ていた同級生の学生さんたちがみんな集まって、彼女がみんなを代表して、僕に、「Emeryは、いつも、わたしたちに、Tom先生の自慢をしてたんですよ。Emeryはいつも、『Tom先生は、凄いひとだ。凄い研究してるし、いろんなこと知ってる。僕は、Tom先生みたいな研究者になって、いろんな人たちの命を救うんだ。』と、皆にいいふらしてたんですよ。なので、今日、同級生のみんな、Tom先生に会えて、とても喜んでます。ほんとうに、ありがとう。」そう言って、彼女は僕とhugをして、そのあと、すべての学生さんたちが、それぞれ、ひとりずつ、僕にhugをしてくれた。

僕はNAISTにきて、僕が言い出しっぺでSURFを始めたのには、Emeryと、彼の友達、彼の家族への思いもこめたものであった。でも、残念ながら、NAISTでは、SURFに関わることは二度とないと思う。これからは、SURFとは、別の新たなシステムをつくって、優秀な学部生さんたちと、僕なりに関わっていこうと思う。