2020年7月21日火曜日

2020721日【研究者としてCOVID-19時代に考えたこと】

僕自身は、もう40年間弱、生命科学や医学の研究していて、病気については、ほとんど何も本質的なことは分かっていない、ということを分かっている。だから、研究を続けている。

でも、この新型コロナ事変で、世の中の一般の人達の認識は、こんなこととっくのむかしに解明されているはず、との前提で考え話される。この大きな乖離が、世間一般の方々のフラストレーション、訴え、批判、困惑、につながっているのだろうと僕は今考えている。

今更だけど、研究レベルで分かっていること分かっていないことを正確に市民の方々に伝え理解してもらうことの重要性を感じる。

これを担う役割として、数十年前に日本でもサイエンスコミュニケーターなる人種(職業)が生まれたのだけど、どうも、「研究を市民にわかりやすく伝える=赤ちゃん言葉で分からないことはできるだけスキップして分かったことをできるだけ誇張して伝える」という方程式で活動されるので、今のような状況になってしまった。そして、「研究を市民にわかりやすく伝える=ある程度の嘘には目をつむる」ってことで、研究成果が一般市民に発信されている。

ただ、そもそも人は、「XXXはまだ分からない」という情報よりは、「XXXが分かった」という情報を好むので、それも厄介。

そう考えると、「教育」が重要となるけど、一般市民の多くが論理的な考えを持てることは不可能、ということは明らか。

じゃ、どうする、ってことになる。

今の僕には答えはないのだけど、考えるべし材料。