これはサイエンスにも通じている。どうも日本では「二つに一つ」「白黒つける」「是非」的なサイエンスが蔓延っているし、このようなアプローチがほとんどのように感じる。これでは、深いサイエンスは出来ないと僕は考える。
「二つに一つ」「白黒つける」「是非」的なサイエンスをしている人たちの多くは、間違ったサイエンスの認識をしている。これらの人たちは、サイエンスは「真実」を明かにするものと勘違いしている。しかし、それは間違い。
サイエンスはこの世の現象に対して、実験結果、論理の展開によって、最もつじつまのあう、また最も普遍性のある説明を見つけることである。したがって、「真実: absolute truth」とは違う。新しい実験結果 (new evidence, observation)、新しい見方 (examination from a new angle)、新しい論理 (new logics) の展開で、現在ある科学的説明は変化する。極端なことをいうと、生命の説明で“現在ある”セントラルドグマ (Central dogma) も200年後には全く違ったものに変わっている可能性がある。